その極端さが気になる
時間が極端
TikTokの文化なんてもう全然わからないんだけど、人気の動画は15秒以内が鉄則らしい。YouTubeも面白い部分を切り抜いた切り抜き動画が人気だし、動画配信サイトには倍速再生機能が付いている。倍速にしたら監督が計算したセリフの間もBGMがかかるタイミングも全部台無しじゃないかと思うけれど、根っからの映画好きしかそんなことには興味ないのかもしれない。
LINEは送信した瞬間に相手に届く。新着メール問い合わせに数十秒かかるなんて今の若い子にはわからない。ネットの記事はご丁寧に記事のまとめが表示され、「全文を読む」を押さないと記事全文が読めない、いや、そもそも読まない。日本人の5割は5行以上の文章の意味が取れないというのも去年話題になった。
極端に待つことができない、一つのことに時間をじっくり使うことが極端に出来ない人間になっていないだろうか。数分しか、いや15秒しか集中できないのでは、本も読めなくなる、映画も観れなくなるのは当然だ。この「待てなさ」は体のことに関しても言える話で、何か不調があっても手っ取り早く薬で治したい。風邪を引いてもじっくり休む時間が無駄のように感じる。
掃除はルンバ、食器は食洗機。家事から解放された時間で倍速動画を視聴し、とにかく詰め込むことが自分磨きなんだと消費させられる現代人と、家事で1日の大半が終わっていた昔の人、どちらが幸せだろうか?
味が極端
ペヤング獄激辛を食べたらしばらく悪寒と嘔吐が止まらなかったという人がいた。かなり辛いものでも大丈夫だと言う人がそこまで苦しむことがある食べ物がコンビニに売られている。
ペヤングはショートケーキ味なんてのも発売していたけれど、Youtuberが紹介してその時だけ瞬間的に売れる商品ばかり開発する風潮以上に、極端に辛いとか極端に量が多いものじゃないと満足できない人の増加が気になる。ストロングゼロもそうだし、二郎系ラーメンもそう。ビーフパティ4枚重ね!みたいな見た目の汚いハンバーガーを出す店も多い。
横浜家系ラーメンみたいな食べ物も好きなので、味の濃い食べ物のすべてを否定しないけれど、丁寧に取った出汁の繊細な味も旨いと感じられる人間でいたい。
丁寧さが極端
若手のバンドマンが「アルバム発売させていただきます、ツアー回らせていただきます」というのに違和感がある。バンドマンなんだから太々しくツアー回りますで良いじゃないか。
同様に、とあるYoutuberが概要欄に「この動画が面白いと思っていただけたら高評価をお願いします」と書いていて、やっぱりこれも体のよくわからない場所がムズムズする。面白いと思っていただく?へりくだり過ぎだろう。
女優の上白石萌歌さんがミュージックステーションに出演した際に、萌歌さんが大ファンだというスピッツも出ていて、「スピッツをさん付けで呼ばなかった」ことが昨年ネットニュースになった。「尊敬してるなら『さん』くらい付けようよ」とつぶやいた人が事の発端らしいが、馬鹿馬鹿し過ぎて印象に残っている。スピッツのメンバーはスピッツさんと呼ばれるのが嫌なことを萌歌さんが知っていたのかどうかは知らないが、バンド名とか、屋号には絶対さんを付けた方が良いと思う人はいつから増えたのか?
完全に偏見なんだけど、整体とかのサロン界隈には屋号にさんを付けて呼ぶ風潮が強いような気がする。道案内のページに「セブンイレブンさんの角を右に曲がり、直進すると田中クリニックさんが左手に見えてきます」みたいな感じで書いてあるのを見ると、そこは呼び捨てでいいだろうといちいち思ってしまう。
させていただきますの多用も屋号のさん付けも、違和感があるのは「丁寧過ぎると逆に馬鹿にしているような印象になる」からだろう。もちろん好きなように呼べば良いんだけど、「さんを付けてないのは失礼だろう!」と怒るのはちょっと勝手過ぎるし、変なところにこだわる割にSNS上で見知らぬ人にタメ口でクソリプを飛ばしたりする。他人との距離が極端になっていないか?
「レッドホットチリペッパーズさん」が変なように、芳田整体も呼び捨てで良いですからね。
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