宗派の違い

仕事仲間のAさんはいまだコロナを過剰に気にするご両親の説得に奮闘している。先日会った時は「実家に帰ると怖がっていた頃の自分に戻りそうになる」と言うのでそれカルトの家庭で育った人のセリフですよと笑った。


マスク「スンナ派」と「シーヤ派」による宗教対立だと言う人もいて上手いなと思った最近、ますます宗派の対立が厳しくなっている。宗派の違い・コロナ観のベクトルが違うので話は噛み合わないし永遠に平行線をたどるさまは、カルトにハマった人を説得するのが難しいのと同じだ。私の母方の祖母は大手新興宗教の会員で母親は2世、私は3世信者になる。Aさんの奮闘を聞くと、団体への疑問や今後活動はしないと訴えても伝わらなかった20代前半を思い出す。


母親も物心ついた時から信仰が生活の中にあったので、団体の思想が絶対に正しいと信じて疑わない。団体を批判する人はそれが真っ当な批判であっても聞き入れないし、団体の思想が理解できない人はかわいそうな人、島国根性で良いものを良いと認めない人だと決めつける。人間関係、ご近所付き合いも信者が大半なので、疑う・脱会するということは生活のすべてがなくなることを意味する。私が中学時代不登校になった時は「過去世の行いが宿業となって出てきてるんだから乗り越えなくちゃ」と言われ、ただ祈ることしかしなかった。仕事と活動の両立が役職のある人ほどきつくなり、心を病む信者も多かったがそれも信仰の足りなさで片付けられる。いろんな矛盾を指摘したとしても論理的思考は働かずに、否定されたという感情が勝って対話にならない。


絶対に今の感染対策が必要だと信じて疑わない人の反応の仕方を見るたび彼らを思い出す。


さざ波という表現が話題になったが、世界に比べて陽性者数は少ないという主旨にもかかわらず「亡くなった人の命を軽視している!ひどい!」という感情にスイッチが入る。皆が協力する必要があるのに理解できずに飲み歩く人はかわいそうな人と書いている人を見たことがある。自粛反対派はトランプ支持者のような陰謀論者ばかりと決めつける人もいる。禁酒法など今の対策方法にいろいろ疑問は感じるが、そもそも日本で何か特別な対策が必要だったのかという疑問には辿り着かない。


冒頭のAさんの母親はこの騒動のおかしさにずいぶん気づき始めたと思いきや、ふとしたきっかけで元の怖がり方に戻るとも言っていて、それはやっぱり論理的思考性よりも特に恐怖の感情が優位にあるからだと思われる。指摘されたらすぐわかりそうな矛盾というのも多々あって、例えば「絶対に感染したくない」と「テレビが報道するのをやめたらコロナ終わるのでは?」が同時に言えてしまう人もいるし、マスクするだけでどれだけ密な場所だろうが普通に出かけられてしまうのも考えれば考えるほど不思議だ。パンデミックなんかが起きれば国民そっちのけで閉じこもるはずの政治家があちこちで会食しては謝罪し、医師会が政治資金パーティーを開く。何かおかしいと思わせる話はこの一年転がりまくっていたのだけれど、目に入らないのか、脳内の”コロナ怖いフィルター”で変換されてしまうのか。


昔ネット掲示板で見かけた、信者の親や配偶者と冷静に話す時のアドバイスは、

・批判しない

・否定しない

・質問ばかりしない

だった。


………無理だ。その団体もツッコミ所満載だったけれど、コロナを巡るあれこれも一週間もすればネタが溜まり過ぎて困るくらいなのだ。とはいえ信じているものを批判されれば相手もいい気分にはならないので、こちらの忍耐も結構必要になる。


20代半ば、信仰から完全に目が覚めたのは信者である旦那さんの生態を面白おかしくブログに書く女性のブログだった。ブログ開設当初は割と熱心に活動していた旦那さんも徐々に離れていった。女性はその団体に対して「自分の美意識が拒否する」と言っていて、同意だった。


今もあの時の感覚と同じだ。

巷の感染対策は美意識が拒否するのでできません。あと宗派もこちら野口整体ですので。

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